ア行

ア行 (あ い う え お)
 三 東 の ペ ー ジ 

 京 方 言 集

ア行 (あ い う え お)

   言     葉        意    味   ・    用    例    等
 あ 
 アーチャン  母ちゃん
 アイ  鮎
 アオップクレ  あおぶくれ、顔などが青っぽく、むくんだように見えること
 アオノケニ  仰向けに 
 アオゲーロ  トノサマ蛙(多摩地方の方言)
 アカチ  赤とんぼ(動物学的にはナツアカネとアキアカネ)
 アガキ  具合、調子、勝手 「手めえと俺とはまるで料簡のあがきが違うんだ」
 アガキ     動き 「そんな飲んだくれ、そうでもしなきゃあがきのつけようもねえ」
 アキレタ   見そこなったのも無理はない
 アグネル  飽きる、いやになる 「仕事にあぐねる」「もうあぐねてしまって」
 アケノヒ  明くる日、あした
 アゲサゲ  にっちもさっちも行かなくなる 「あげさげもならなくなる」
 アケッパナシ  開け放つ事、開放的
 アケッピロゲ  心に包み隠しのないさま。あけすけ。「あけっぴろげな性格」
 アクマッパライ  悪魔払い(あくまばらい) 祈祷などをして悪魔をはらい除くこと。
 アサズケイチ  べったら市のこと
 アサッパラ  まだ夜が明けたばかり 「あさっぱらから、何をどなってんのさ」
 アシタナサ  明日の朝
 アスブ  遊ぶ
 アスビゴト   あそびごと(遊戯)
 アスコ  あそこ
 アソビ  商売が甚だしく不振なこと 「あすこいらでさえまるで遊びだってよ」
 アタイ  私
 アタジケナイ  甚だけちなこと 「あのひとあたじけないから」
 アタボー  当然 「あたぼーよ」 あたりまえだよ
 アタマ   全然、まるっきり、最初から 「あたまっから相手にしない」
 アタリキ   あたりまえ
 アタリマイ  あたりまえ
 アタル  忌み言葉で 摺る(する)、、擂る(する)などを擦る(すべてを使い果た す)という言葉を嫌ってアタルと洒落た。すり鉢は(あたり鉢)あたり棒
 アタル  剃るも江戸弁では(する)といったので忌み嫌って、「髭をあたる」に
 アタル  そろばんをはじいて計算する 「ちょっと当たってごらんくださいまし」
 アッシ  (アタシの転) 一人称。主に職人が用いる
 アツボッタイ  厚い 「あつぼったい着物(きもん)着やがって」
 アッタラ  みすみす、惜しい 「好き勝手な事して、あったら命を短くした」
 アップアップスル  溺れかかる
 アッポ  帽子
 アテコト  あてにすること、頼みにすること 「あて事と越中ふんどしゃ向こうから  はずれる」
 アテズッポー  いい加減、口から出まかせ
 アト  以前 「丁度四年あとに嫁にいったんだから」
 アナボコ  穴
 アバヨ   さようなら
 アフラアフラ  ぽかんとして待っている様 「いつまでもこうやって、あふらあふら待っ ててもしょうがないね」
 アブク    泡
 アブラッテ  脂性(あぶらしょう)の手
 アベコベ  反対 「前と後ろがあべこべだよ」(多摩地方の方言)
 アマッコ  女の子
 アマッタルイ  味が度をすぎて甘い。「あまったるい飴だな」
 アマッチョ   婦女子(多摩地方の方言)
 アヤカリモノ  幸せ者
 アラッポイ  荒々しい乱暴である「あらっぽい性格」 粗雑である「あらっぽい造り」
 アリガテー  ありがたい、うれしい、すぐれている、 感謝したい気持である
 アリッタケ  あるだけ全部
 アンキ  心易て分け隔ての無いこと 「誰とでもあんきに口をきく」
 アンチョク  値段の安い、安っぽい
 アンケラカン  呆然 、ぼんやり 「手を開けて、あんけれらかんとしてもいられない」
 アンポンタン   低脳、 愚か者をののしっていう語
 アンマリ  あまり
 アンモ  餅
 アンバイシキ  塩梅「山茶花もこうした塩梅しきに咲いたのを見るとおつな花ですね」
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イ   い 
 イーグサ  言い分、文句
 イエリョウジ  家庭療治
 イカサマ  詐欺、インチキ
 イガム  ゆがむ
 イカモノ  偽者、えたいの知れないもの
 イキ  具合、調子、心ぐみ 「そんないきの事があるんですか?」
 イクタテ  いきさつ 「いくたてを並べてすっかり先で承知さえすれば・・・・・」
 イグチ  口が欠けていること [万古の急須がいぐちになった」
 イケオーフー  傲慢(ごうまん)
 イケスカナイ  厭な 「あんないけすかない奴ったらありゃしない」
 イケズーズーシー  厚顔無恥な
 イガム  歪む(ゆがむ)
 イゴク  動く
 イサクサ  面倒な事 「飲めば胸の中のいさくさなんかみんな吹っ飛んじまう」
 イサミ  鳶職、河岸の男、遊び人など、侠気を以て任ずる者
 イジッパリ  無理にでも我(が)を通そうとがんばること。また、そういう人
 イジリアイ   口論 
 イジョク  座ったままでする職業
 イスグ  ゆすぐ
 イスブル  揺すぶる 「そんなにいすぶっちゃ字が書けないよ」
 イズル  譲る
 イタチノミチ  疎遠、音信不通
 イタブル  揺する 「そんなにいたぶっちゃ、こわれちゃうじゃないか」
 イチャツク  男女が交情こまやかに、たわむれあう 「「人前でいちゃつくな」
 イチラツ  ひととおり 「いちらつをお聞きになりませんか?」
 イッカ  先頃、さる時
 イツガヒニ  何時 「いつがひになったら楽な体になれるやら」
 イッケシンルイ  一族一門
 イッソ  むしろ
 イッツケル  告げ口をする 「かあちゃんにいっつけてやるぞ」
 イッコウシキ  全然 「食い物もねえし酒もいっこうしきだ」
 イッサイガッサイ  何もかも 「いっさいがっさい、みんなかっつぁらわれた」
 イッショクタ   何もかも乱雑に、一緒なこと
 イッスイキ  一周忌
 イッソ  かえって 「その方がいっそ愛嬌があるよ」
 イットキ  ちょっとの期間 「いっとき過ぎれば仕事もしまうんだから辛抱なさい」
 イツノカマニ  何時の間にか 
 イッパシ  相当、かなり 「あれで自分じゃいっぱしの芸人のつもりなんだから」
 イッパチ  一人前(多摩地方の方言)
 イップクイッツイ  両親の揃っていること
 イトミチ  三味線の手ほどきをすること
 イトメ  制限 「金にいとめはをつけないでやる」
 イヌシシ  猪
 イノチヲシマウ  命を失う 「これ以上飲んだひには命をしまいます
 イビ  指
 イビッタレ   寝小便
 イビワ  指輪
 イブセッテー  鬱陶しい(うっとうしい)、気がつまる(多摩地方の方言)
 イマシガタ  たった今 「つい今しがた来たばっかり」
 イメーマシー  忌々しい
 イベタ   座り小便(多摩地方の方言)
 イマワリ  付近
 イリヨー  小遣い銭
 イリワケ  詳しい事情、委曲
 イル  揺する 「地震がいる
 イル  割れる、ひびができる 「ひびがいったんでしょう」
 イロンナ  色々な
 イワク  結う、縛る 「紐でいわく
 イワク  由緒、因縁 「いわくつきの長屋」 悪い言い伝え
 インエ  いいえ
 インゴー  業つくばりな事
 インゴークサイ  剛情一徹な・・・(多摩地方の方言)
 インダラ  無秩序(多摩地方の方言)
 インデンシ  なめし革で袋物を造る事を職業にする人
 インヤ  いいや、すなわちいやいやだと不承知を表す言 
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 う
 ウケハン  保証人になって押す判
 ウケル  人の気に入る 「かくし芸を披露したらとてもうけちゃってね
 ウズキヨーカ  お釈迦様の誕生日 卯月(4月)8日
 ウスツキ  嘘つき
 ウスッコギタネー  汚い
 ウスッペラ  厚さが薄い事
 ウスベッタイ  薄い 「うすべったい座蒲団だな」
 ウソウソト  恐る恐る 「うそうそと伺い出る」
 ウソトボウズノアタマ  「嘘と坊主の頭は言ったことが無い」 「結う」と「言う」を洒落た言い回し
 ウソヲイエバ  おまけをつけて話をすれば
 ウソンコ  本当に賭けないで、後で返しあう勝負
 ウタグリッポイ  疑い深い
 ウタリ  水田(多摩地方の方言)
 ウダル  茹だる
 ウチ  自分の家、我が夫
 ウッチャル  捨てる 「汚いからうっちゃっておしまい」
 ウッチャッテオク  放任する 「かまわないからうっちゃっておおきなね」
 ウデタマゴ  ゆで卵
 ウッテツケ  最適任
 ウットーシイ  五月蝿い(うるさい) 「うっとーしーなー」(多摩地方の方言)
 ウップス  うつ伏せになる
 ウデッコキ  腕利き
 ウナゴージ  便所の蛆(多摩地方の方言)
 ウヌ  自身 「うぬの始末もつかないで生意気な口をきくな」
 ウヤムヤ  曖昧にごまかす事、事情のはっきりしない事
 ウラッポ  尖端、末梢 (多摩地方の方言)
 ウラテ  家の後ろ
 ウラミッコ  お互いにうらみあう 「これでうらみっこがなくなったよ」
 ウロ  空洞
 ウワオキ  客分のような者 添えて出る人 「女義太夫のうわおき」 
 ウワッツラ  うわべ、 表面、 外面、うわつら 「うわっつらをなでただけの評」
 
 え
 エガラッポイ  えぐくて辛味がある
 エーカンブシ  無誠意、なげやり(多摩地方の方言)
 エバル  威張る
 エベツ  ゆがんでいること 「この箱はえべつだね」
 エム  隠語で男根を言う
 エモンカケ  着物をかける細い竿 衣物(いもの)掛けが訛った
 エライ  骨が折れる 「あの山路は、なれない人にはえらいかもしれねえ」
 エンコ  浅草公園 公園を逆さに言ったもの 浅草をえんこという事もある
 エンタツ  煙突
 エンニチ  神仏に因んだ日(ご縁日)に夜店商人が並んで人出で賑やかな日
 エンペン  親類(縁辺)
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 お
 オーガマエ  店など規模の大きい事 「おーだな」
 オート  トノサマバッタ、クルマバッタ
 オードロボー  オニヤンマ
 オイシキ  お会式(おえしき)
 オイソレモノ  軽率な者
 オイド  尻
 オイランイモ  甘藷の中の白いもの、南京芋 (見掛けは綺麗で味が良くない例え)
 オウチ  他人の家、相手の家
 オウツリ  物を贈られたとき、持ってきた入れ物の中に入れて返す物(半紙など)
 オエシキ  10月13日、日蓮の忌日に行う仏事 (花万灯を立て太鼓をたたいて  歩き回り、12日の夜半に池上本門寺に集まり一泊、翌朝まで続く)
 オカイ  お粥
 オカイコグルミ  絹物ばかり着ていること 「オメシゾッキ」とも言う
 オカイシ  贈答品などの返礼
 オカズ  副産物 「オサイ」とも言う
 オカチン  餅を女言葉で言う方言
 オカッタルイ  物足りない 「あの女は相手の男をおかったるく思っている」
 オカブ   得意なこと 十八番
 オカベ  豆腐
 オカマ  尻
 オカマイ  追放
 オカマヲオコス  身代を作る
 オキヌケニ  寝て起きるとそのまま
 オキャン  おてんば
 オケラ  無一文 「スッテンテン」とも言う 
 オコサマ  蚕 (多摩地方の方言)
 オコーコ  香の物 おしんこ
 オコシラエ  服装 「おこしらえがすんだら、どうぞこちらへ」
 オコタエ  ことわりの挨拶 「お宅様へもおこたえにあがらなければならない…」
 オコツク  拘泥(こだわらない) 「馬鹿馬鹿しいこんな事におこついて
 オコトジル  冬至の日、味噌汁の中に小豆や団子やいろいろ入れて煮たもの」
 オコマ  小間使い(女言葉)
 オコル  叱る 「しかる」は主に受け身に用いる
 オゴル  ご馳走する、ふるまう 「芝居をおごってよ」
 オゴル  贅沢な物の使い方をする 「紙を一枚おごって靴を拭く」
 オゴル  新調する 「背広をおごらなきゃ
 オサガリ  人が使ったものをまたほかの人が使う、おふる 「姉さんのおさがり
 オサキッパシリ  何事にも人に先んじて手出しをする者
 オサスリ   下女と妾と兼ねたようなもの 「おさすりからずるずると後添えになる」
 オシキセ  主人が奉公人に着せる着物
 オシキセ  毎日二合なら二合ときまっている晩酌の酒
 オシシ  蜜柑(みかん)を食べる際、薄皮をむいてひっくり返したもの
 オシマ  暇、 おひま
 オシロコ   お汁粉(おしるこ)
 オシタシ  醤油
 オシヤ  水、冷や飯 「おひや」が訛った
 オシャクサン  半玉
 オチャラチャラ  その場だけの甘い言葉(多摩地方の方言)
 オショサン  師匠
 オショーバン  食べ物のお相手
 オシンコ  香の物 料理屋などでいう
 オジキ  叔父
 オジサン  叔父 大人の男を呼ぶ言葉
 オジヤ  雑炊
 オシャベリ  口かずの多いこと。また、そういう人、「おしゃべりな奴だ」、 雑談。
 オジョー  お嬢さん
 オスワル  教えてもらう 「何べんおすわっても忘れちまう」
 オセール  教える 
 オセジモン  お世辞上手
 オソガケ  時間が遅くなってから出向いてきた事 「今日はおそがけでしたね」
 オソッサマ  お祖師さま(日蓮)
 オソナワル  遅くなる 「こみあっていまして、ついおそなわりました」
 オソマツサマ   食事後、客に対する挨拶
 オソロイ  揃った服装をすること 「お祭りにおそろいを着ていく」
 オソーザイ  家族や雇人にわたる日常の食物 「テンヤモノ」に対する反語 
 オソーソサマ  客の食事後または帰るときの主人側の挨拶 「おそうそさまでした」
 オタイコ  たいこもち、幇間
 オタメゴカシ  表面は相手のためになるように見せかけて、実は自分の利益をはかる こと 「おためごかしを言う」 御為倒し(おためごかし)
 オチャオケ  職人、雇人などに出す午後の間食
 オチャズケ  茶をかけて飯を食べること 冷や飯のこともいう
 オチャッピー  お喋り、多弁で滑稽なまねをする娘、おませな小娘
 オチャノコサイサイ  ご易しいこと おもに洒落て言う
 オチャヤ  割烹店
 オッカァ  子供が母を呼ぶ称(子供の母の意)、夫が妻を呼ぶ称、 嫁を呼ぶ称
 オツカイモノ  贈答品
 オツケ  お汁
 オツモ  頭、 オツムとも言う、 おつむりが略された
 オツモリ  酒が銚子になくなること
 オツユ  汁 普通は味噌汁に対して澄まし汁を指し、煮物の煮汁もいう
 オツージ  便通(女ことば)
 オッカナイ  恐ろしい、こわい
 オッカナビックリ  驚きこわがるさま。おそるおそる。こわごわ。
 オックー  億劫(おっくう)
 オッケ  公然と 「二人ともおっけ晴れて出歩けないんだよ」
 オッコチル  落ちる 「はしご段からおっこったんだって」
 オッソロシー  非常に、すごい  「おっそろしーべっぴんだ」
 オッツク  追いつく 
 オッツケル  押し付ける
 オットマカセ  相手の言葉に対して、待ってましたとばかり直ちに行動に移ること
 オットリ  温和で落ち着いた様
 オッパラウ  追い払う
 オッピラキ  お開き、 おひらきにする
 オッピラク  勢いよく開く、 公然とする、おおっぴらにする
 オップセ ル  威力を以て圧倒する 「あの目におっぷせられるような気がする」
 オッポ  尾
 オッポリダス  投げ出す、 追放する
 オテシオ  小皿
 オテショ  小皿
 オテンキ  移り気
 オトコップリ  男子としての容姿、また面目、おとこまえ、美男、好男子
 オトシヤク  年長の故を以て上席に着くこと 「おとしやくで御免をこうむりますか」
 オトモライ   葬式
 オドリ  利息の重なる事 月にまたがる利息計算でその月の利子が重なる事
 オナカ  心の中 「顔はあんなですけど、おなかは至ってきれいな人です」
 オネバ  ご飯を炊く時のふきこぼれ
 オヒヤ  水、 冷や飯
 オブー  湯、水、 浴場
 オブー  子供を背負う
 オベッカ   へつらうこと、またそのことば、 おべんちゃら
 オマイ  おまえ
 オマンマ  ご飯
 オミオツケ  味噌汁
 オミッテ  酔っ払って 「帰ってきたときはすっかりおみってた」
 オムカイ  お迎え
 オメシゾッキ  縮緬ぐるみ 上から下まで絹物を着てる事
 オレ  男女ともに、また目上にも目下にも用いたが、現代では主として男が同 輩以下の者に対して用いる
 オレクチ  葬式 「今日はやぼようでおれくちだ」
 オワイ  汲み取った肥え
 オワシ  銭、おあし 特に小銭を言う 
 オンバコ  おおばこ
 オンブ   他人の金で見物したり食べたりすること
 オンボロ  元来ぼろを言うが転じてぼろを着た人
 オンマ  馬

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